いとし子(7)美麗!ガラスのターンテーブルMarantz Tt1000 [オーディオのいとし子たち]
CD30周年を失念
まったく気付かなかった。
CD(コンパクトディスク)の登場は1982年である。
「30周年」に当たる2012年は過ぎてしまった。
人生における30歳は「而立(じりつ)」とされ、「自分の立場ができる」歳だそうだ。
人の成長に比べると、どうやらCDの方がずっと早かったようである。
いやいやまことに申し訳ない。
私自身、CDなくして日々の生活を送れないほどお世話になりながら、失念してワイン一杯のお祝いもしなかったとは・・。
ラジオ80周年とか、テレビ60周年とか騒いでいたのに、それらにも匹敵するCDの30周年はどうしたんだ。
と憤っても、誰も相手にしてくれそうもない。
「CD」登場の意義はたいへん大きかった。
それはオーディオの世界だけの話ではなく、21世紀の世界における「歴史に残る大革命」ベスト10に入るであろうエポックメイキングな出来事である。
CDの、音質を含めた性能やそのデジタル理論、一般ユーザー向けに大きく改善された取り扱いの利便性は、まさに画期的であった。
さらにCDは、来たるべきデジタル時代の幕開けを宣言しただけでなく、その新時代の象徴として、今でも虹のような輝きを放っている。
CD(デジタル技術の象徴)は生まれながらに、やがて来るデジタル時代、ネット時代における「音源の媒体」の概念を、根底から変えてしまうほどの可能性を内包していたのである。
一方、それまで半世紀に渡って、音楽ファンやオーディオファンはもちろん、お父さんやお母さん、その子供たちにまで広く親しまれてきたアナログレコードの絶滅は、時間の問題であった。
アナログレコードの絶滅
「CD」後、30年を越えた昨今、アナログレコードは生産・製造において、ほぼ絶滅した、かに見える。
ところが今日でも、国内、海外とも、ごく一部で限定的な生産が行なわれている。
CDの総生産枚数と比較すれば0%のコンマ以下、ゼロをいくつ並べても追いつかないものの、それでもなお、様々な企画による新プレスのアナログレコードがリリースされている。
中古レコードショップや通販店は、まだあちこちで見かけるが、新規のレコード盤が、ごく少数ではあるが、いまだにリリースされているなど、ちょっと意外な状況である。
要するに今もなお、昔の中古盤を探すだけでなく、新しくプレスされた盤を熱望するレコードファンが、ある程度の数、存在しているわけである。
この事実は今現在も、レコードプレーヤーでレコード盤を愛聴している「レコードファン」が健在であり、CD以降30年が経過した今も、レコード盤にはまだまだ「捨てられない魅力」があることの証である。
レコード盤の魅力
その魅力とは何か。
昔からレコードを聴いていて、それが今も続いているからか(至極当然)。
レコード盤の音か。
レコードの大きなジャケットか。
ターンテーブル、トーンアーム、カートリッジといったメカか。
それとも「レコードをかけるという一連の行為」そのものか。
おそらくこれらのどの部分にも、CDにはない、CDでは失われてしまった魅力があるに違いない。
が、しかし、それらがノスタルジックな魅力であれば、消滅するのに何十年もの時間はかからないはずだ。
30年も経てば完全絶滅していてもおかしくはない。
やはりレコード盤やレコードプレーヤーには、何か世界共通の普遍的な魅力があるに違いない。
現用のレコードプレーヤー
アナログレコードを聴くための私のメインプレーヤーは、当ブログの「コンポ」シリーズ(第1回)で紹介した「OTARI BPL-10」である。
その姿も気に入っているが、使いやすさ抜群、そして音は申し分ない。
Technics SP-10MKⅡAの性能をほとんどフルに引き出していると思われる。
ターンテーブルの音に、これ以上の「何か」を求めるとなると、部屋の床構造から、プレイヤーシステムのすべてを根本的に見直さなければならなくなるのでは、と感じている。
ガラスのターンテーブル
今日の日記は、メインターンテーブルBPL-10の傍らに寄り添う、世にも稀な美形プレーヤーである。
当ブログの「甦れ8X」(第3話)の写真2に、その遠くの姿が写っていたので、ターンテーブル愛好家諸兄の中には、気付かれた方もおられたかもしれない。
見るも眩しく窓の光を跳ね返しているそれは、Marantz Tt1000。
8mm厚の強化アルミ板を、2枚の15mm厚特殊ガラス版でサンドイッチにして、無共振ベースを実現した稀有の構造を持つターンテーブルである。
私はこのTt1000をOTARIと同じぐらいの頻度で使っている(現在は別部屋の新入りSTAX ELS-8X用に移動)。
これを回すとき、なぜかとても清々しく、いい気持ちになれる。
姿・形が心に反映するのではないかと思う。
また、ボタンに指先を触れるだけて操作ができるフィーリングは「快感」といっていい。
<写真1:Marantz Tt1000 レコードプレーヤー・システム>
**後ろのカーテンの下から漏れる光が、ガラスの板の背面から入り、中を通り抜けて手前の面が輝いている。8mm厚の強化アルミ板を、2枚の15mm厚特殊ガラス版でサンドイッチにした構造に注目願いたい。1980年発売**
このターンテーブルは見た目が美形であるためか、性能よりも「格好優先モノ」と思われがちであるが、それはとんでもない誤解である。
だいたい「格好優先」(性能そこそこ)などで、15mm厚のガラス版を、カットし、削りだし、大小の穴を穿ち、溝を彫り、研磨するなどの、おそろしく困難な細工(=手間・時間・コストがかかる)ができるはずもない。
このターンテーブルのベースになっているガラス板の部分をよく観察すれば、よくぞまあ、このような大小込み入った加工をやっつけてしまったものだ、と感嘆する。
どこのガラス加工工場を、どのように口説いて作らせたのか、その経緯を知りたいものである。
性能を追求したら「美麗」がついてきた
信頼ある企業の、コンシューマ相手の市販製品である以上、総合的に見た採算を無視してまでの「暴挙」はあり得ない。
そもそもこれほどのガラス加工を行うともなれば、よほどの信念と覚悟がなければできるものではない。
そこには、ガラスとアルミの積層構造による防振・制振効果を「設計の基本」とした、高性能・高音質のターンテーブル開発計画があったに違いない。
そして素材に見合った形をデザイナーがイメージするなかで、必然的にこのような美麗なフォームに収斂したのだろう。
再度繰り返したい。
最初に「美麗」があったのではなく、防振・制振の目的上、まずガラスとアルミ素材の積層構造があり、高性能・高音質を追求していったら、必然的に(勝手に)美形になったのである。
<写真2:数年前にリリースされた往年の名盤の高音質復刻盤と昔の原盤>
手持ちの一例であるが、上段より、エソテリック(株)がリリースした「英DECCA復刻名盤シリーズ」のLPとCDの一枚。
アンセルメ、スイスロマンドの「三角帽子」の復刻盤のLPとCD(2009年発売)である。
中央の踊る女性のジャケットは、その原盤の日本プレス盤(1962年)とDECCA原盤(これは一つ前の録音でモノラル盤)。
下段の4トラックテープは米国プリント(このテープは保存性の悪いアセテートベース。大事なお気に入りのテープなのでハブが太いリールに巻いて養生している)。
Marantz Tt1000
何事も「盛ん」な時代は「こわい」ものだ。
このような製品が出現するから面白い。
これほど美しく、音響的にも本格的な作りのターンテーブルは、内外とも、他にはない。
ガラスを主構造に用い、まるで美術工芸品のような製品は、もう決して作られることはないだろう。
このMarantz Tt1000は、時代が味方すれば、このような生産合理性のない製品も、時として生まれるという、オーディオ業界の「よき時代」の忘れ形見のようなものだと思う。
<写真3:Tt1000の斜め横の全景>
**15mm厚のこれだけの量のガラス板は大変な重量になる。全重量は26Kgであるが、これは大人の男が、腰を入れて踏ん張らないと持ち上がらない。この写真から、インシュレーターの足の穴、操作ボタンの穴、2つのトーンアームの取り付け穴、モーターの据付穴、それに四隅のカット、すべての縁の面取りと研磨などなど、いかに困難なガラスの加工が必要かを推測していただきたい**
<写真4:Tt1000のブランド・ロゴとモデル名>
**1980年当時、marantzは「ESOTECシリーズ」として、高級メインアンプやプリアンプなどを展開していた**
<写真5:タッチセンサーによる操作ボタン>
**操作はすべて、指先でボタンに軽く触れることによって行う。いわゆるタッチセンサーである。ターンテーブルは重量級であるが立ち上がりは早くストレス感はない**
無共振構造とスペック
Tt1000の構造は、2つの材質を重ねることによる防振・制振理論に基づいている。
質量の異なる2つの材料を重ねると、内部摩擦により振動エネルギーが熱に変換されるため、振動が減衰し、高い防振・制振効果が得られるという理論である。
ターンテーブルベースは、8mm厚のアルミ板を15mm厚のガラスで挟み込んだ三重構造。
ターンテーブルは、5mm厚の硬質ガラスシートを含め、重量3.4Kg。
モーターは電磁ブレーキ付きハイトルク・ブラシレスDCモーターで、起動トルクは1.6Kg・cm。
全重量26Kg。
Tt1000の主なスペックはこのようなものである。
<写真6:主トーンアームdynavector DV505>
**主トーンアームはdynavectorのDV505が付けてある。このDV505はOTARIのBPL-10にも付けているが、トレース能力は比肩するものなし(後継機を除き)。使い勝手も非常によい**
<写真7:DV505の水平回転方向の電磁ダンパー部>
**丸い2つの強力な磁石に挟まれた間隙を、アルミの円弧状のバーが動く(出入りする)際に発生する渦電流により、水平回転のダンパーとして機能する**
<写真8:副トーンアーム SAEC WE-407/23の背面view>
**とても精密かつ堅牢に作られ、ナイフエッジ等のガタなど曖昧なところが一切ない。信頼性が高く、安心して使える。アームスタビライザーのAS-500Eは、ベース底面の穴の関係から残念ながら取り付けられない(ベースがきわめて強固なので、その必要性はないと思うが)。**
<写真9:副トーンアーム SAEC WE-407/23の操作側view>
**見ているだけで気持ちがよくなるほどの、すばらしい精度の工作**
レコードプレーヤーの魅力
身近にあるものでは、レコードプレーヤーほど、気持ちを落ち着かせるものはない。
逆に、心が安定しているときでなければ、レコードプレーヤーに盤を乗せることができないのかもしれない。
まずジャケットから注意深く盤を取り出し、その盤の中心穴を通してターンテーブルのスピンドルを見る。
ミサイル誘導装置のロックオンのようなものだ。
穴から見えるスピンドルの目線がガイドになり、一発でターンテーブルに乗せることができる。
レコード盤の心得の「イ」
一発で落とし込むことができずにあちこち探し、穴の周囲のレーベル面に、醜いヒゲなどをつけてはいけない。
そんなことは神経質すぎるとか、どうとかの話ではない。
この程度のことは、レコード盤愛好家の心得の「イロハのイ」である。
こういった心遣いができないようでは、いくつかのメカの非常に微妙な組み合わせで構成されるレコードプレーヤーを、最良の状態に整備し、最良の音を引き出すことなど、どだい無理な話である。
その微妙なことの組み合わせを追い込んでいくことが面白いところでもあり、また時代に取り残された要因の一つでもある。
<写真10:レコード盤に針を下ろす>
**DV505にはアームリフターが装備されていないので、ちょっと熟練を要する。演奏が始まる前のいい感じの「針音のプロローグ」で、耳の肥えた人であれば、Tt1000の力量が計れるかもしれない**
針をおろす
ターンテーブルを回し、盤面に慎重に針を下ろす。
針が盤の表面を滑走する音に続いて、針が溝に落ち込む音。
そして軽快でダンピングの効いた針音のプロローグとともに、聴きなれた、もう何十回となく繰り返された演奏が、また新しく眼前に広がる。
さあ暫くの時間、お気に入りの演奏に浸ろう。
今日は割合いい感じに聴こえる。
抵抗なく聴く心に溶け込むようなグッドバランスの音が出たときは(生理的にそのように聞こえたとき、かもしれないが)、演奏に興奮することがあっても、精神的には大変リラックスしているのだろう。
<写真11:全体の印象は「クール」>
**ガラスなので冷たい印象が強いが、改めて見ると飾りっけなし。メカニカルな機能美に全体が包まれているように感じられる*
<写真12:お気に入りのヘッドシェルとカートリッジ>
**ヘッドシェルはORSONICのAV-101。なぜかこれがいい具合。この写真のカートリッジはHighponicのMC-A3が付いている。SAECのアームにも同じヘッドシェルの黒が付いている**
再生音は、そのつど違って聞こえる
同じ盤、同じ再生装置であっても、そのつど、音や演奏に対する感じ方が違う。
その時の気分、体調、室温、湿度、気圧、室外の騒音や暗騒音、AC100Vの商用電源の電圧や波形の良し悪し。
まだまだ気付かないパラメータがあるかもしれない。
おそらくそれらの変動要素が、聴く人と、入り口から出口までのすべての装置に何らかの影響を与えているものと思う。
それらがたまたま、うまくいっている時のアナログレコードの再生音は、本当に素晴らしい。
音質などを表現する際によく使われる「オーディオ用語」、解像度、粒立ち、ダンピング、スピード、音離れ等々を持ち出すことがためらわれる「たいへん良好な」音の世界が展開される。
<写真13:背後から小さなライトで照らした様子>
**この清涼な「透明感」は、ガラスでなければ演出できない**
レコード盤は磨り減るか
「擦り切れるほど聴いたレコード」という言い方がある。
しかし、レコード盤を大切に扱っている人が、整備されたレコードプレーヤーで再生するかぎり、好きな盤を繰り返し繰り返し何回も聴くという行為であれば、レコード盤が磨り減ってダメになることは、普通はない。
ビニール盤 vs ダイアモンド針。
硬さでは、蒟蒻(こんにゃく) vs 鉄ほどの違いがあるのに、ダイアモンド針が磨耗して使えなくなっても、ビニール盤はほとんど無傷である。
まことに興味深い現象が、ビニール盤のグルーヴ(groove:溝)と、その溝をトレースするダイアモンド針との接触面に生じているようだ。
おそらく溝にかかる針先の単位面積当たりの強大な圧力と、柔らかいビニールの変形と復元の関係に、その秘密があるのだろう。
モーター部を取り外してみる
この美麗Tt1000が、どの程度気合を入れて作られているのか、ちょっと見てみたい。
まずターンテーブル(回転台)を垂直に持ち上げ、スピンドルから抜いて取り外す。
<写真14:「回転台」を取り外した本体の様子>
**モーターアッセンブリーは、6本の長いビスで、ベース中央のアルミ板に固定されている**
<写真15:取り外した「回転台」の構成部品>
**回転台は、回転台本体と、5mm厚ガラスのターンテーブルシート、それに中央キャップで構成される。裏返しのアルミダイキャストの回転台周辺部の厚みと縦幅を見れば、かなり「イケ」そうに思う。500円玉が小さく見える。この回転台にガラスシートを置くと、本当に魔法のように「鳴き」がなくなる(ベースの防振・制振理論と同じ)。**
DDモーター
ダイレクト・ドライブ・モーターについては、その昔、いろいろとネガティブな論評があった。
初期段階あたりでは、ものによってはいろいろ問題があってもおかしくはない。
ポジであれネガであれ、信頼できる記事、できない記事、様々あるのが評論の世界である。
特にDDターンテーブルに関しては、その後もなぜか首を傾げる批評が目についたが、実績による評価も定まっている今となっては、どうでもいいことだろう。
大事なことは「自分の耳で検証してみる」ことだと思う。
とはいっても残念ながら、今後は未来永劫、ダイレクト・ドライブのターンテーブルが新たに作られることはないだろう(本格的な高級DDターンテーブルのことを話題にしている)。
作りたくても、ターンテーブル自体が絶滅危惧種であるかぎり、採算の見通しは立たない。
DDターンテーブルの開発には、高い技術力と、会社の体力が必要である。
DDは大変リッチなメカを必要とする。
そのコストがかかるDDメカの対極が、ベルトドライブ・メカである。
わが国有数の大企業であり、DDターンテーブルの開発元であり、世界中のプロの現場で使われたDDターンテーブルの傑作機SP-10mkⅡを生み出し、常にDD方式の旗手であった松下のTechnicsブランドでさえ、2010年にターンテーブルの生産を終了している。
私の選択は、やはり抜群に静粛、ひっそりと静まり返って回転するDDである。
それ以外の方式は、モーターの振動や、アイドラの転がり音を免れることが極めて難しい。
それらの僅かな振動やノイズの抑制など、私には難しくて手に負えない。
メカの整備が完璧状態であっても、カートリッジは極微の振動も容赦なく拾う。
それが彼らの仕事である。
ただし、低速回転のモーターと、ターンテーブルとを完全にアイソレートした糸ドライブ(ある程度長めの)には、とても興味がある。
この方式をしっかり試してみないことには、ターンテーブルは語れないのかもしれない。
確かな根拠はないが、見たり聞いたりしたなかでは、長周期のワウさえコントロールできれば、糸ドライブ方式が「再生音」の面では最良ではないかと想像する。
糸の長さとモーターの振動の伝達は逆比例するが、長くなれば長周期の回転変動が発生するらしい。
ターンテーブル大好き、の気力があるうちに、試してみたいものである。
<写真16:写真14の6本の長ビスを抜き、DDモーターアセンブリーをベースから外す>
**ガラスベースの床下にはDDモーターの制御基板を収めた金属ケースが取り付けられている**
<写真17:取り外したDDモーターアセンブリーを横から見た図>
**写真16を横から見た様子。上部の縦棒がスピンドル。DDモーターはアルミダイキャストのケースに収められている**
<写真18:モーターアセンブリーの取り付け穴>
* *ベース背面に光を当て、モーター取り付け穴の様子を分かりやすくした。防振・制振のガラス/アルミのサンドイッチ三重構造や、ガラスの穴あけ加工などが観察できる**
<写真18:DDモーターアセンブリーを分解した様子>
**写真17のDDモーターアセンブリーの大きな円盤部と帽子部は、3本の長ビスで合体されている。そのビスを抜いて分離した状態。DDモーターの基台円盤も、固定極を収容した帽子部も、相当しっかりした作りのアルミダイキャストであることが分かる。スピンドルも軸受けも、必要十分の太さと強度が確保されていると思われる。回転速度検出用の緑のリング状のプリントパターンが見える**
さてさて、Marantz Tt1000
こうやって各部や細部をよく見ていくと、単なる美麗ターンテーブルではなく、「これはけっこうタダモノではないな」と感じて頂けたのではないかと思います。
出てくる音も、この力作・苦労作の開発に携わった方々の期待を裏切らず、かなりまともであり、不満なく演奏に没入することができます。
ターンテーブル。
レコードプレーヤー。
それを回してレコード盤をかける「おもしろさ」。
その再生音の気持ちよさ。
この魅力は、興味のない他人にはなかなか理解できない、微妙な感覚や感受性に起因するところが多いのではないかと思います。
この魅力を、続く世代に伝承しなければ、とは思うのですが・・・。
年末年始は、このTt1000をオーディオ部屋に戻し、この時期恒例の「あれら」を、大音量で聴こうと思います。
(いとし子(7)美麗!ガラスのターンテーブルMarantz Tt1000 おわり)
まったく気付かなかった。
CD(コンパクトディスク)の登場は1982年である。
「30周年」に当たる2012年は過ぎてしまった。
人生における30歳は「而立(じりつ)」とされ、「自分の立場ができる」歳だそうだ。
人の成長に比べると、どうやらCDの方がずっと早かったようである。
いやいやまことに申し訳ない。
私自身、CDなくして日々の生活を送れないほどお世話になりながら、失念してワイン一杯のお祝いもしなかったとは・・。
ラジオ80周年とか、テレビ60周年とか騒いでいたのに、それらにも匹敵するCDの30周年はどうしたんだ。
と憤っても、誰も相手にしてくれそうもない。
「CD」登場の意義はたいへん大きかった。
それはオーディオの世界だけの話ではなく、21世紀の世界における「歴史に残る大革命」ベスト10に入るであろうエポックメイキングな出来事である。
CDの、音質を含めた性能やそのデジタル理論、一般ユーザー向けに大きく改善された取り扱いの利便性は、まさに画期的であった。
さらにCDは、来たるべきデジタル時代の幕開けを宣言しただけでなく、その新時代の象徴として、今でも虹のような輝きを放っている。
CD(デジタル技術の象徴)は生まれながらに、やがて来るデジタル時代、ネット時代における「音源の媒体」の概念を、根底から変えてしまうほどの可能性を内包していたのである。
一方、それまで半世紀に渡って、音楽ファンやオーディオファンはもちろん、お父さんやお母さん、その子供たちにまで広く親しまれてきたアナログレコードの絶滅は、時間の問題であった。
アナログレコードの絶滅
「CD」後、30年を越えた昨今、アナログレコードは生産・製造において、ほぼ絶滅した、かに見える。
ところが今日でも、国内、海外とも、ごく一部で限定的な生産が行なわれている。
CDの総生産枚数と比較すれば0%のコンマ以下、ゼロをいくつ並べても追いつかないものの、それでもなお、様々な企画による新プレスのアナログレコードがリリースされている。
中古レコードショップや通販店は、まだあちこちで見かけるが、新規のレコード盤が、ごく少数ではあるが、いまだにリリースされているなど、ちょっと意外な状況である。
要するに今もなお、昔の中古盤を探すだけでなく、新しくプレスされた盤を熱望するレコードファンが、ある程度の数、存在しているわけである。
この事実は今現在も、レコードプレーヤーでレコード盤を愛聴している「レコードファン」が健在であり、CD以降30年が経過した今も、レコード盤にはまだまだ「捨てられない魅力」があることの証である。
レコード盤の魅力
その魅力とは何か。
昔からレコードを聴いていて、それが今も続いているからか(至極当然)。
レコード盤の音か。
レコードの大きなジャケットか。
ターンテーブル、トーンアーム、カートリッジといったメカか。
それとも「レコードをかけるという一連の行為」そのものか。
おそらくこれらのどの部分にも、CDにはない、CDでは失われてしまった魅力があるに違いない。
が、しかし、それらがノスタルジックな魅力であれば、消滅するのに何十年もの時間はかからないはずだ。
30年も経てば完全絶滅していてもおかしくはない。
やはりレコード盤やレコードプレーヤーには、何か世界共通の普遍的な魅力があるに違いない。
現用のレコードプレーヤー
アナログレコードを聴くための私のメインプレーヤーは、当ブログの「コンポ」シリーズ(第1回)で紹介した「OTARI BPL-10」である。
その姿も気に入っているが、使いやすさ抜群、そして音は申し分ない。
Technics SP-10MKⅡAの性能をほとんどフルに引き出していると思われる。
ターンテーブルの音に、これ以上の「何か」を求めるとなると、部屋の床構造から、プレイヤーシステムのすべてを根本的に見直さなければならなくなるのでは、と感じている。
ガラスのターンテーブル
今日の日記は、メインターンテーブルBPL-10の傍らに寄り添う、世にも稀な美形プレーヤーである。
当ブログの「甦れ8X」(第3話)の写真2に、その遠くの姿が写っていたので、ターンテーブル愛好家諸兄の中には、気付かれた方もおられたかもしれない。
見るも眩しく窓の光を跳ね返しているそれは、Marantz Tt1000。
8mm厚の強化アルミ板を、2枚の15mm厚特殊ガラス版でサンドイッチにして、無共振ベースを実現した稀有の構造を持つターンテーブルである。
私はこのTt1000をOTARIと同じぐらいの頻度で使っている(現在は別部屋の新入りSTAX ELS-8X用に移動)。
これを回すとき、なぜかとても清々しく、いい気持ちになれる。
姿・形が心に反映するのではないかと思う。
また、ボタンに指先を触れるだけて操作ができるフィーリングは「快感」といっていい。
<写真1:Marantz Tt1000 レコードプレーヤー・システム>
**後ろのカーテンの下から漏れる光が、ガラスの板の背面から入り、中を通り抜けて手前の面が輝いている。8mm厚の強化アルミ板を、2枚の15mm厚特殊ガラス版でサンドイッチにした構造に注目願いたい。1980年発売**
このターンテーブルは見た目が美形であるためか、性能よりも「格好優先モノ」と思われがちであるが、それはとんでもない誤解である。
だいたい「格好優先」(性能そこそこ)などで、15mm厚のガラス版を、カットし、削りだし、大小の穴を穿ち、溝を彫り、研磨するなどの、おそろしく困難な細工(=手間・時間・コストがかかる)ができるはずもない。
このターンテーブルのベースになっているガラス板の部分をよく観察すれば、よくぞまあ、このような大小込み入った加工をやっつけてしまったものだ、と感嘆する。
どこのガラス加工工場を、どのように口説いて作らせたのか、その経緯を知りたいものである。
性能を追求したら「美麗」がついてきた
信頼ある企業の、コンシューマ相手の市販製品である以上、総合的に見た採算を無視してまでの「暴挙」はあり得ない。
そもそもこれほどのガラス加工を行うともなれば、よほどの信念と覚悟がなければできるものではない。
そこには、ガラスとアルミの積層構造による防振・制振効果を「設計の基本」とした、高性能・高音質のターンテーブル開発計画があったに違いない。
そして素材に見合った形をデザイナーがイメージするなかで、必然的にこのような美麗なフォームに収斂したのだろう。
再度繰り返したい。
最初に「美麗」があったのではなく、防振・制振の目的上、まずガラスとアルミ素材の積層構造があり、高性能・高音質を追求していったら、必然的に(勝手に)美形になったのである。
<写真2:数年前にリリースされた往年の名盤の高音質復刻盤と昔の原盤>
手持ちの一例であるが、上段より、エソテリック(株)がリリースした「英DECCA復刻名盤シリーズ」のLPとCDの一枚。
アンセルメ、スイスロマンドの「三角帽子」の復刻盤のLPとCD(2009年発売)である。
中央の踊る女性のジャケットは、その原盤の日本プレス盤(1962年)とDECCA原盤(これは一つ前の録音でモノラル盤)。
下段の4トラックテープは米国プリント(このテープは保存性の悪いアセテートベース。大事なお気に入りのテープなのでハブが太いリールに巻いて養生している)。
Marantz Tt1000
何事も「盛ん」な時代は「こわい」ものだ。
このような製品が出現するから面白い。
これほど美しく、音響的にも本格的な作りのターンテーブルは、内外とも、他にはない。
ガラスを主構造に用い、まるで美術工芸品のような製品は、もう決して作られることはないだろう。
このMarantz Tt1000は、時代が味方すれば、このような生産合理性のない製品も、時として生まれるという、オーディオ業界の「よき時代」の忘れ形見のようなものだと思う。
<写真3:Tt1000の斜め横の全景>
**15mm厚のこれだけの量のガラス板は大変な重量になる。全重量は26Kgであるが、これは大人の男が、腰を入れて踏ん張らないと持ち上がらない。この写真から、インシュレーターの足の穴、操作ボタンの穴、2つのトーンアームの取り付け穴、モーターの据付穴、それに四隅のカット、すべての縁の面取りと研磨などなど、いかに困難なガラスの加工が必要かを推測していただきたい**
<写真4:Tt1000のブランド・ロゴとモデル名>
**1980年当時、marantzは「ESOTECシリーズ」として、高級メインアンプやプリアンプなどを展開していた**
<写真5:タッチセンサーによる操作ボタン>
**操作はすべて、指先でボタンに軽く触れることによって行う。いわゆるタッチセンサーである。ターンテーブルは重量級であるが立ち上がりは早くストレス感はない**
無共振構造とスペック
Tt1000の構造は、2つの材質を重ねることによる防振・制振理論に基づいている。
質量の異なる2つの材料を重ねると、内部摩擦により振動エネルギーが熱に変換されるため、振動が減衰し、高い防振・制振効果が得られるという理論である。
ターンテーブルベースは、8mm厚のアルミ板を15mm厚のガラスで挟み込んだ三重構造。
ターンテーブルは、5mm厚の硬質ガラスシートを含め、重量3.4Kg。
モーターは電磁ブレーキ付きハイトルク・ブラシレスDCモーターで、起動トルクは1.6Kg・cm。
全重量26Kg。
Tt1000の主なスペックはこのようなものである。
<写真6:主トーンアームdynavector DV505>
**主トーンアームはdynavectorのDV505が付けてある。このDV505はOTARIのBPL-10にも付けているが、トレース能力は比肩するものなし(後継機を除き)。使い勝手も非常によい**
<写真7:DV505の水平回転方向の電磁ダンパー部>
**丸い2つの強力な磁石に挟まれた間隙を、アルミの円弧状のバーが動く(出入りする)際に発生する渦電流により、水平回転のダンパーとして機能する**
<写真8:副トーンアーム SAEC WE-407/23の背面view>
**とても精密かつ堅牢に作られ、ナイフエッジ等のガタなど曖昧なところが一切ない。信頼性が高く、安心して使える。アームスタビライザーのAS-500Eは、ベース底面の穴の関係から残念ながら取り付けられない(ベースがきわめて強固なので、その必要性はないと思うが)。**
<写真9:副トーンアーム SAEC WE-407/23の操作側view>
**見ているだけで気持ちがよくなるほどの、すばらしい精度の工作**
レコードプレーヤーの魅力
身近にあるものでは、レコードプレーヤーほど、気持ちを落ち着かせるものはない。
逆に、心が安定しているときでなければ、レコードプレーヤーに盤を乗せることができないのかもしれない。
まずジャケットから注意深く盤を取り出し、その盤の中心穴を通してターンテーブルのスピンドルを見る。
ミサイル誘導装置のロックオンのようなものだ。
穴から見えるスピンドルの目線がガイドになり、一発でターンテーブルに乗せることができる。
レコード盤の心得の「イ」
一発で落とし込むことができずにあちこち探し、穴の周囲のレーベル面に、醜いヒゲなどをつけてはいけない。
そんなことは神経質すぎるとか、どうとかの話ではない。
この程度のことは、レコード盤愛好家の心得の「イロハのイ」である。
こういった心遣いができないようでは、いくつかのメカの非常に微妙な組み合わせで構成されるレコードプレーヤーを、最良の状態に整備し、最良の音を引き出すことなど、どだい無理な話である。
その微妙なことの組み合わせを追い込んでいくことが面白いところでもあり、また時代に取り残された要因の一つでもある。
<写真10:レコード盤に針を下ろす>
**DV505にはアームリフターが装備されていないので、ちょっと熟練を要する。演奏が始まる前のいい感じの「針音のプロローグ」で、耳の肥えた人であれば、Tt1000の力量が計れるかもしれない**
針をおろす
ターンテーブルを回し、盤面に慎重に針を下ろす。
針が盤の表面を滑走する音に続いて、針が溝に落ち込む音。
そして軽快でダンピングの効いた針音のプロローグとともに、聴きなれた、もう何十回となく繰り返された演奏が、また新しく眼前に広がる。
さあ暫くの時間、お気に入りの演奏に浸ろう。
今日は割合いい感じに聴こえる。
抵抗なく聴く心に溶け込むようなグッドバランスの音が出たときは(生理的にそのように聞こえたとき、かもしれないが)、演奏に興奮することがあっても、精神的には大変リラックスしているのだろう。
<写真11:全体の印象は「クール」>
**ガラスなので冷たい印象が強いが、改めて見ると飾りっけなし。メカニカルな機能美に全体が包まれているように感じられる*
<写真12:お気に入りのヘッドシェルとカートリッジ>
**ヘッドシェルはORSONICのAV-101。なぜかこれがいい具合。この写真のカートリッジはHighponicのMC-A3が付いている。SAECのアームにも同じヘッドシェルの黒が付いている**
再生音は、そのつど違って聞こえる
同じ盤、同じ再生装置であっても、そのつど、音や演奏に対する感じ方が違う。
その時の気分、体調、室温、湿度、気圧、室外の騒音や暗騒音、AC100Vの商用電源の電圧や波形の良し悪し。
まだまだ気付かないパラメータがあるかもしれない。
おそらくそれらの変動要素が、聴く人と、入り口から出口までのすべての装置に何らかの影響を与えているものと思う。
それらがたまたま、うまくいっている時のアナログレコードの再生音は、本当に素晴らしい。
音質などを表現する際によく使われる「オーディオ用語」、解像度、粒立ち、ダンピング、スピード、音離れ等々を持ち出すことがためらわれる「たいへん良好な」音の世界が展開される。
<写真13:背後から小さなライトで照らした様子>
**この清涼な「透明感」は、ガラスでなければ演出できない**
レコード盤は磨り減るか
「擦り切れるほど聴いたレコード」という言い方がある。
しかし、レコード盤を大切に扱っている人が、整備されたレコードプレーヤーで再生するかぎり、好きな盤を繰り返し繰り返し何回も聴くという行為であれば、レコード盤が磨り減ってダメになることは、普通はない。
ビニール盤 vs ダイアモンド針。
硬さでは、蒟蒻(こんにゃく) vs 鉄ほどの違いがあるのに、ダイアモンド針が磨耗して使えなくなっても、ビニール盤はほとんど無傷である。
まことに興味深い現象が、ビニール盤のグルーヴ(groove:溝)と、その溝をトレースするダイアモンド針との接触面に生じているようだ。
おそらく溝にかかる針先の単位面積当たりの強大な圧力と、柔らかいビニールの変形と復元の関係に、その秘密があるのだろう。
モーター部を取り外してみる
この美麗Tt1000が、どの程度気合を入れて作られているのか、ちょっと見てみたい。
まずターンテーブル(回転台)を垂直に持ち上げ、スピンドルから抜いて取り外す。
<写真14:「回転台」を取り外した本体の様子>
**モーターアッセンブリーは、6本の長いビスで、ベース中央のアルミ板に固定されている**
<写真15:取り外した「回転台」の構成部品>
**回転台は、回転台本体と、5mm厚ガラスのターンテーブルシート、それに中央キャップで構成される。裏返しのアルミダイキャストの回転台周辺部の厚みと縦幅を見れば、かなり「イケ」そうに思う。500円玉が小さく見える。この回転台にガラスシートを置くと、本当に魔法のように「鳴き」がなくなる(ベースの防振・制振理論と同じ)。**
DDモーター
ダイレクト・ドライブ・モーターについては、その昔、いろいろとネガティブな論評があった。
初期段階あたりでは、ものによってはいろいろ問題があってもおかしくはない。
ポジであれネガであれ、信頼できる記事、できない記事、様々あるのが評論の世界である。
特にDDターンテーブルに関しては、その後もなぜか首を傾げる批評が目についたが、実績による評価も定まっている今となっては、どうでもいいことだろう。
大事なことは「自分の耳で検証してみる」ことだと思う。
とはいっても残念ながら、今後は未来永劫、ダイレクト・ドライブのターンテーブルが新たに作られることはないだろう(本格的な高級DDターンテーブルのことを話題にしている)。
作りたくても、ターンテーブル自体が絶滅危惧種であるかぎり、採算の見通しは立たない。
DDターンテーブルの開発には、高い技術力と、会社の体力が必要である。
DDは大変リッチなメカを必要とする。
そのコストがかかるDDメカの対極が、ベルトドライブ・メカである。
わが国有数の大企業であり、DDターンテーブルの開発元であり、世界中のプロの現場で使われたDDターンテーブルの傑作機SP-10mkⅡを生み出し、常にDD方式の旗手であった松下のTechnicsブランドでさえ、2010年にターンテーブルの生産を終了している。
私の選択は、やはり抜群に静粛、ひっそりと静まり返って回転するDDである。
それ以外の方式は、モーターの振動や、アイドラの転がり音を免れることが極めて難しい。
それらの僅かな振動やノイズの抑制など、私には難しくて手に負えない。
メカの整備が完璧状態であっても、カートリッジは極微の振動も容赦なく拾う。
それが彼らの仕事である。
ただし、低速回転のモーターと、ターンテーブルとを完全にアイソレートした糸ドライブ(ある程度長めの)には、とても興味がある。
この方式をしっかり試してみないことには、ターンテーブルは語れないのかもしれない。
確かな根拠はないが、見たり聞いたりしたなかでは、長周期のワウさえコントロールできれば、糸ドライブ方式が「再生音」の面では最良ではないかと想像する。
糸の長さとモーターの振動の伝達は逆比例するが、長くなれば長周期の回転変動が発生するらしい。
ターンテーブル大好き、の気力があるうちに、試してみたいものである。
<写真16:写真14の6本の長ビスを抜き、DDモーターアセンブリーをベースから外す>
**ガラスベースの床下にはDDモーターの制御基板を収めた金属ケースが取り付けられている**
<写真17:取り外したDDモーターアセンブリーを横から見た図>
**写真16を横から見た様子。上部の縦棒がスピンドル。DDモーターはアルミダイキャストのケースに収められている**
<写真18:モーターアセンブリーの取り付け穴>
* *ベース背面に光を当て、モーター取り付け穴の様子を分かりやすくした。防振・制振のガラス/アルミのサンドイッチ三重構造や、ガラスの穴あけ加工などが観察できる**
<写真18:DDモーターアセンブリーを分解した様子>
**写真17のDDモーターアセンブリーの大きな円盤部と帽子部は、3本の長ビスで合体されている。そのビスを抜いて分離した状態。DDモーターの基台円盤も、固定極を収容した帽子部も、相当しっかりした作りのアルミダイキャストであることが分かる。スピンドルも軸受けも、必要十分の太さと強度が確保されていると思われる。回転速度検出用の緑のリング状のプリントパターンが見える**
さてさて、Marantz Tt1000
こうやって各部や細部をよく見ていくと、単なる美麗ターンテーブルではなく、「これはけっこうタダモノではないな」と感じて頂けたのではないかと思います。
出てくる音も、この力作・苦労作の開発に携わった方々の期待を裏切らず、かなりまともであり、不満なく演奏に没入することができます。
ターンテーブル。
レコードプレーヤー。
それを回してレコード盤をかける「おもしろさ」。
その再生音の気持ちよさ。
この魅力は、興味のない他人にはなかなか理解できない、微妙な感覚や感受性に起因するところが多いのではないかと思います。
この魅力を、続く世代に伝承しなければ、とは思うのですが・・・。
年末年始は、このTt1000をオーディオ部屋に戻し、この時期恒例の「あれら」を、大音量で聴こうと思います。
(いとし子(7)美麗!ガラスのターンテーブルMarantz Tt1000 おわり)
初めまして、安永と申します。単刀直入に申し上げます。実は私の知人のブルガリア人が、マランツのTT-1000ターンテーブルを手に入れたのですが、プラッターとガラスのマットが亡くなってるものでした。
そこで、自作でプラッターとガラスのマットを造る計画を立てまして、すでに機械や機材を手に入れたそうです。問題は、詳しいサイズを知りたいとかで、ネットで検索した所、貴方のサイトに行き当たったという事で、私を通訳として間に入れまして、サイズの確認をお願いしたいとの事です。
要するに、各寸法を教えていただきたいという訳です。ダイアグラムがありますので、後でメールで送らせていただきますが、まずはこの事をご了承頂けますでしょうか? どうか宜しくお願い致します。
安永 正
住所:〒732−0814
広島市南区段原南2−6−10
電話:090−8605−5758
メルアド:turbonaga@mac.com
by 安永 (2015-05-19 17:58)