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エッセイ(1)我ら音楽再生リプロデューサー [オーディオエッセイ]

リプロ
蓄音機のサウンドボックス。
レコードの溝を針でこすって音を拾う部分。
これ、エジソンが発明した円筒型蓄音機の時代から「リプロデューサー」と呼ばれている。
「音を再び甦らせるもの」。
リプロデューサー。
これだけで、小さな我が家に響き渡るほど大きな音が出る。
エレキの力を使わない「100%純粋、ダイレクト再生ピックアップ」である。

リプロ(縮小)DSC_7320.jpg
<リプロデューサー(サウンドボックス)>
**His Master’s Voiceのニッパー君(フォックステリアの雄らしい)の商標でお馴染みのVICTOR TALKING MACHINES社製リプロデューサ(サウンドボックス)。振動板はマイカ(雲母)。この写真では竹針が付けてある。針には「鉄針」、「ソーン針」(サボテンの棘などで作ったもの)など、他にもいろいろな素材のものがある。このリプロデューサ、歳はたぶん90歳前後だと思われる**


音の缶詰
音楽の場。
その場の空気振動を「箱」に閉じ込め大量に複製し、人々に販(ひさ)ぐビジネスあり。
レコード会社、レコードショップ、ダウンロードサイト。

「箱」すなわち録音メディアの形態には、絶滅種、絶滅危惧種を含めて、SPレコード、LPレコード、カセットテープ、8トラックカートリッジ、4トラックオープンリールなどのアナログ族。
CD、MD、DAT、HD、DL(ダウンロード)などのデジタル族がある。
「箱」を開けて音を開放すると、元の音楽演奏の場が再現される。
箱を開けて、ただ音を出すだけなら簡単。
しかし臨場感に満ち、躍動感に溢れ、そこで演(や)ってる感にハッとし、知らずのうちに音楽に引き込まれてしまうような場を再現するのは容易ではない。

レコード(記録メディア全体の総称)から、生々しい音楽の再現を追求する道楽者が、「音楽好きオーディオファイル」だと思う。
昨今は、音楽、劇・映画・放送・出版などの制作者、統括責任者を「プロデューサー」と称している。
名刺の肩書きになるように、もう少し格好をつければ、その統括責任者、つまりレコードから、音楽の「活きた音」を再生するための「プロデューサ」といえるだろう。
ちょっとややこしいが、「理想的なリプロデューサ」の実現を目指す「プロデューサ」。
私もその端くれの一人だろうか。

オーディオとは?
さてオーディオファイル諸兄の書棚には、様々な形の「箱」がコレクションされていると思われる。
ご年配の方ならCDよりもLPレコードがたくさん納まっているかもしれない。
オープンリール・デッキをお持ちで、いまも4トラックテープが大事に保管されているなど、うれしい光景である。
昨今、カセットテープやMD、DATテープなどが絶滅危惧種になる一方、メインライブラリはパソコンのハードディスクの中、という方も多いだろう。

音楽の場の空気振動をどのような形の箱に閉じ込めるか、その形態は技術の進化とともに移り変わってきた。
「箱」はすなわち「媒体(メディア)」である。
そのメディアに記録された音を空間に開放することが音楽再生である。
それを実現し楽しむ行為が「オーディオ」というものだろう。
そのための機械仕掛けが「オーディオ装置」に他ならない。

「箱」のフォーマットを定めるに当たっては、それぞれの時代の最高の智恵が集結されたはずである。
そのいずれの「箱」も、それぞれの時代相応に、かなりの真迫度で音楽の場の空気振動が収容されていると思う。

100年前100年後
エジソンの円筒型蓄音機や、ベルリーナの円盤型蓄音機が実用されて、すでに百数十年が経っている。
現代のリプロデューサ、つまり現代のオーディオ装置を手にしている私が、遠い過去のマイカ振動板のリプロデューサを見て感慨にひたる、とする。
今から100年後。
遥か未来のオーディオファイルの誰かが、私のオーディオ装置を見たとする。
彼はどう思うだろうか。
今から100年前と100年後。
音楽を録音・再生する仕掛けの「進歩の歩幅」は果たしてどうなるか。

私の予想ですか。
そうですねー。
私の感覚では、録音・再生の手段には、かなりの進化があると思いますが、出てくる音響には「時代を画する」ほどの飛躍はないのでは、と、ちょっと悲観してます。
どうなんでしょう?
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