コンポ(3の2)MAGNEPAN平面スピーカーの音がSTAX ELS-8Xを救った [オーディオルームのコンポーネントたち]
昨年の春、私の所へMAGNEPAN MG1.7が送られてきた。
「かえるの息子」が入手したものである。
自分のアパートの部屋に置くスペースがないといって、配送先を実家にしたという。
MAGNEPAN(マグネパン)
平面フィルムを振動膜(ダイアフラム)にした平面型スピーカーである。
ただし私のSTAX ELS-8Xのような、平面フィルムをクーロン力で駆動するコンデンサースピーカー(静電型スピーカー)ではない。
誰もが知っている丸い形のダイナミック型コーンスピーカーの駆動原理と同じ、磁力(フレミング左手の法則)を利用した方式である。
それゆえMAGNEPANの駆動方式は「Magneplanar:マグネプレーナー」と名付けられている(漢字では「磁力平面型」とでも書くのか)。
なお「コンデンサースピーカー」は、日本でのみ通用する呼称であり、海外では「ESL:ElectroStatic Loudspeaker」である。
やはり日本でも、静電気の力(クーロン力)で駆動する方式「静電型スピーカー」と呼ぶべきだろう。
<写真1:左の写真の黒がMAGNEPAN MG1.7。右の写真の白が同SMGa。最後部はSTAX ELS-8X>
**MG1.7の発売は2010年、SMGaは1986年である。SMGaの後継機(現行機)はMMGであり、ツイーター部がQuasi Ribbon(クワジーリボン)型(図2)に改良さているらしい**
私はMAGNEPANの小型モデルSMGaを、20数年前から書斎で使っていた。
当時はまだオーディオ部屋がなく、STAXの大型コンデンサースピーカー ELS-8Xなどのメインのオーディオシステムは、居間兼台所に置いてあった。
そこで、オーディオのサブシステムが書斎にも必要であり、SMGaとYAMAHAの小型密閉箱2WayスピーカーNS-1(前回の写真2)の2種類を気分次第で鳴らしていた。
1969年MAGNEPAN社創立
MAGNEPANの創立は割合古く1969年であり、本社および工場は、米ミネソタ州ホワイトベアレークにある。
MAGNEPAN社創業の逸話が、同社のホームページに載っている。
創業者Jim Wineyは、静電型スピーカー(コンデンサースピーカー)の最初期のユーザーであり、その音に感銘を受けたのか、自ら、さらに改良した静電型スピーカーを開発しようと研究を始めた。
ところがその過程において、MAGNEPANスピーカーの発音の仕組みであるMagneplanar方式(図1)を発明し、ついにはMAGNEPAN社を立ち上げてしまった、という話である。
並外れたSPを手中にした者の常、起業
その逸話は十分にあり得る話である。
昨年の春、私が発音ユニットが劣化して鳴らなくなったSTAX ELS-8Xの修復に没頭しているとき、1969年のJim Wineyと同じような気持ちになった。
ELS-8Xの構造の全容を解明し、修復の手順も確立して、実際の修復作業が順調に進むようになったとき、「このノウハウを元手に、さらに研究すれば、8Xを凌ぐESLスピーカーを製作することができるのではないか」。
「起業して、そのスピーカーを世に広めたい」。
などと妄想に駆られたものである。
スピーカーについて言えば、別に静電型スピーカーに限らず、何か特別に優れたスピーカーを手中にした者は、それ以上のものを作って世に出したい、と思う気持ちが湧いてくるに違いない。
それが高じれば会社を興すことになり、世の常として、その多くは失敗に終わる。
古今東西、一般市場の流通商品として、本当に良いものが生き残るとは限らない。
MAGNEPANの、もうすぐ半世紀にもなる歴史を通して、絶えることのないユーザーの支持を得てきたことには、その音響の素晴らしさとともに、製品そのものが「家電」としての諸々の条件を満たしているからだろう。
<写真2:MAGNEPANの横からview>
**左の写真はMG1.7。右の写真は左からSMGa、MG1.7、STAX ELS-8X。このように平面型スピーカーはいずれも占有床面積が小さい。実際に使ってみると、この特長は大変ありがたい**
SMGa2段スタックの夢、挫折
さて、20数年前から愛用しているMAGNEPANの小型モデルSMGa。
実はその後、もう1式のSMGaを入手して隠匿していた。
縦に2段のスタックにする計画であった。
その構造や外枠の材料の選定など、十分に練り上げてあったが、事を具体的に進める段になり、実物の寸法をとってみて、もう笑うしかなかった。
書斎のスピーカー設置位置の天井につかえる!
設置位置付近の天井は、屋根裏の関係で少々低くなっており、2段スタックが入らない。
感覚的に十分イケル、と思っていたのが大間違いであった。
そのショックから立ち直ることができず、2段スタック計画は頓挫してそれっきりになってしまった。
息子にお下がりSMGa
それっきりお蔵入りになっていたSMGaが日の目を見ることになった。
かえるの息子がオーディオに興味を持ち始めたことが幸いした。
お古のレコードプレーヤーやCDプレーヤーなどとともに、使っている方のSMGaを「お下がり」した。
そして私がお蔵入りしていたSMGaを使った。
彼はしばらくの間SMGaを聴いていたが、その後、親父と同じALTECのMODEL 19を入手した(当ブログの口伝(1)に関連記事あり)。
MODEL 19は第1級のスピーカーである。
彼もそのことは分かり、特にSMGaに不足の低域の豊かさに、一応の満足はしていた。
しかしひとたび平面型スピーカーの「自然な音」や「目に見えるような定位と音場の広がり感」を経験した耳には、1級品といえど、箱型スピーカーの「鈍さ」が耳につくのだろう。
その後、彼がgetしたのがMAGNEPAN MG1.7であり、これが冒頭の「我が家に送り付けられた」MAGNEPANである。
要するに彼が求めている「音」は、「豊かな低音が出るSMGa風の音」なのだろう。
しかし一回り大きなMG1.7でも、まだその望みが叶ったわけではなかった。
MG1.7の「リアル感」に私の何かが弾けた
我が家に送られてきたMG1.7には、もちろん私も興味があり、さっそくオーディオ部屋に運んで鳴らしてみた。
それはちょうど1年ほど前の出来事である。
私のオーディオ部屋で鳴らしたMG1.7の音が、その瞬間から始まる「あまりにも幸運なドラマ」の幕開けであった。
MG1.7から出てきた音は、紛れもなく「SMGa系」の音であり、SMGaの帯域をさらに低く、さらに高く広げ、よりしなやかになった感じであった。
いろいろなジャンルのCDを一通り聴き、「たいへん困ったことになった」と思いつつ、私が試聴の際に、最後の決め手のレファレンスとしているボーカルのCDを聴いた。
その声の「リアル感」や、「そこで歌っている感」に、思わずゾクッとすると同時に、何かが弾けた。
物置部屋のSTAX大型コンデンサースピーカー、ELS-8Xを何としても修復せねばならない。
この決断は、修復が可能かどうかの問題ではなく、「甦らせなければならない」であり絶対的なmust!であった。
そのMG1.7の音の感覚こそ、私が求めている音であった。
この音のさらに先にある音をSTAX ELS-8Xなら出せる。
発音ユニットを不注意で劣化させ、もう10年近くも8Xの音を聴いていなかったが、8Xならその先の音を出せる確信があった。
8Xの代替機として聴いているALTEC MODEL 19。
これはこれで十分「よし」であるが、その良さが存在する「位置」とか「場所」とかが、MAGNEPANやSTAX ELS-8Xとは何か違う。
MODEL 19は、これらの平面型スピーカーと共存はできるが、代替機としてそのまま納まっていることはできない。
MG1.7の音→8Xの修復成功→そして奇跡が
いくら¥を積んでもSTAX ELS-8Xの修復は不可能であり、それでも一縷(いちる)の望みをつないで狭い納戸に押し込めて10年近くが経っていた。
MG1.7の音を聴いたあとの8X修復への挑戦については、カテゴリー「甦れSTAX ELS-8Xコンデンサースピーカー」に綴ってあるので、よろしかったらご一読願えれば幸いである。
そこに『あるきっかけで、私の心の中の「緊急決起ボタン」が押された』とあるのは、ここのMAGNEPAN MG1.7の音であり、それがボタンを押すトリガーであった。
そして「奇跡」とは、8Xの修復に成功し、さらに修復後の音がオリジナルを凌ぐほどであったことと、その音を聴いた息子が、その後まもなく、「奇跡的」といえるほど完全な状態の8Xを、本当に「奇跡的なタイミング」で入手できたことである。
ALTEC MODEL 19の傑作ウーハーユニット、416-8Bから聴こえる最低域の低音の、さらに低い、耳ではなく体で感じる空気の粗密波の音圧が、8Xから伝わってくる。
かえるの息子は、オーディオの世界に足を踏み入れてほんの数年にして、自分の耳が思い描いていたスピーカーを手に入れてしまったわけである。
私も本人も、まったく思いも寄らなかった嘘のような話であるが、親父と息子はどちらも完動品の「ALTEC MODEL 19」と「STAX ELS-8X」を所有することになった。
残念ながら彼は、ことスピーカーに関するかぎり、今後どのような誘惑があろうと、「目移り」や「浮気」などのスキャンダルを起こすことは、おそらくできないだろう。
MAGNEPANのマグネプレーナー方式の原理と仕組み
MAGNEPANのSMGaを修理する
ちょうど今、私の手元にあるSMGa(後で入手したもの)に不具合があり、その修理を兼ねてMagneplanar方式の仕組みを見ていこうと思う。
たまたま数カ月前、現在私が使っているSMGaの左側 のツイーター部の音が出なくなった。
ツイーターへの過大入力保護用ヒューズが切れたわけではないので、おそらくどこかのハンダづけの部分が剥がれた程度のことだろう、と当たりをつけて分解を始めよう。
<写真3:ツイーターが鳴らないSMGaの正面と背面>
MAGNEPANの小型モデルであったSMGaは、価格も扱い易さもイージーであったせいか、海外ではかなりのヒット作であったのだろう。
SMGaの修理に関しては、ネットで検索すると山のように出てくる。
このことは、SMGaがMAGNEPANのヒット作であるだけでなく、大勢のユーザーに愛されているスピーカーであることを物語っている。
日本でも、そこそこの台数が出ているのだろう。
日本のユーザーの修理記事も散見されるので、参考にしていただきたい。
スピーカーユニットの露出
まずは布製のネットを取り外すための作業からスタート。
<写真4:足、SP端子のパネル、両サイドの木枠を取り外す>
**どれも、+ドライバーだけで簡単に取り外せる**
スピーカーユニットを覆っているカバーの材質はリネン(麻)である(間違いないと思う)。
この手の天然麻のネットの丈夫さや経年耐久性は驚異的である。
私のSTAX ELS-8Xの前面を覆っている布も、同じ麻のネットであり、昨年、8Xの修理を行った際に、その麻のネットの優秀性を知った。
ちなみに、スピーカーのネットとしてよく使われる「サラン」は天然繊維ではなく、人造の合成繊維である。
<写真5:底の部分にネットカバーの開口部がある>
ネットカバーは袋状になっており、開口部は底にあって、ステーブル(ホッチキスの針)で、やけに厳重に止めてある。
しつこく止めてある針を、一つひとつ、いやになるほど抜き終わると(実はその下に、さらにもう一列の針がある)、いよいよ袋状のカバーをたくしあげることができる。
スピーカー最上部の両脇も数個の針で止めてあるので、カバーをスッポリと抜き取るには、そこの針も抜いておく。
スピーカーユニットの裏側の様子
故障の原因究明のため、とりあえず、スピーカー・ネットワークやハンダづけの個所などが露出する程度にネットカバーをたくしあげた。
<写真6:ネットカバーを途中までたくしあげ、テスターで各部の導通をチェックする>
Magneplanar型の心臓部、振動膜を駆動するコイル導体が見える。
導体は写真6のようなパターンに引き回され、振動膜(ダイヤフラム)上に接着剤で貼り付けられている。
接着剤は柔軟性のあるネバつく材質であり、そこに付着したゴミや埃を取り除くことはほとんど不可能である。
この導体に、メインアンプのスピーカー出力信号の電流が流れ、振動膜の下に置かれた棒状の磁石の磁力線により、導体を動かす力が発生する(図1参照)。
写真手前の細い導体がツイーター部、奥側の太い導体がウーハー部であり、ツイーター部は、導体の間隔が狭くなっていることが分かる。
磁石は四角の縦長の棒状であり、この導体の縦方向の本数と同じ数が、振動膜の下に縦に並べられている(残念ながら見えない)。
ツイーターが鳴らない不良個所判明
写真6右側の4つの端子の上側2つに、ツイーターのコイル導体がハンダづけされている。
この両端子の導通をチェックすると、なんと16オームほどの値を示した。
おそらく小さい音では鳴っていたのだろう。
4オーム前後が正常値なので、明らかに異常である。
導体の被覆を剥がして、導体そのものの抵抗値をチェックするとOKである。
結局、一番上の端子のハンダづけが不良であった。
端子のハンダづけ面積は十分広いので、工場でのハンダづけ工程に何らかの問題があったのかもしれない。
その部分が経年劣化により、抵抗値が上がったのだろう。
スピーカーユニットの正面(表側)の様子
スピーカーユニットの表側は、各コイル導体の真下に一列の穴を開けたパネルになっている。
一見、こんな小さな穴から、その裏にある振動膜の音が、十分に透過して出てくるだろうかと不安になる。
しかし長年、このやり方で特に大きな問題はなかったのだろう。
相反する要因や何やら、いろいろあっての計算から、この形になったものとは思うが、どうもこの構造には、直感的に拒否反応が生じる。
素人の考えであるが、穴の径はこの程度でもいいが、もっとずっと高い開口率が欲しいと思うのだが・・。
<写真7:左が正面、右が背面の様子>
**各列のコイル導体の位置に、一列の穴が開けてある。穴と穴の間に、四角の棒状の磁石が縦に並べて配置されている(図1参照)。右側の写真は、背後の光が透けるように撮影した**
平面型であるが紛れもなくダイナミック型のMAGNEPAN
図1は、MAGNEPANの創業者が発明・考案したMagneplanar型スピーカーの仕組みと、その動作原理図である。
Magneplanar型は、一般のダイナミック型コーンスピーカーと同じ原理である「フレミング左手の法則」による磁力を振動膜の駆動に利用している。
「フレミング左手の法則」とは、磁力線の方向と、その中に置かれた導体に流れる電流の方向により、導体に働く力の方向が定まることを左手で表わすものである。
互いに直交する左手の親指(力)・人差し指(磁力線)・中指(電流)で示すことが出来る。
図1は、Magneplanar型スピーカーの仕組みと動作原理を、分かり易く示すために私が書き下ろした模式図であり、1枚に主要な話を押し込めた。
<図1:MAGNEPAN Magneplanar型スピーカーの仕組みと動作原理>
図1の上部は、通常に設置されている状態のSMGaを、正面の真上から見た様子である。
ブルーのバーが長い棒状の磁石であり、図のようなS/Nの磁極になるように並べられている。
図の左下は、背面から見た様子であり、振動膜上を駆動コイルが引き回されている形に注目していただきたい。
その振動膜上の右端はツイーター部分であり、棒磁石や駆動コイルの間隔が狭く、また導体も細くなっている。
そして図の右側は、駆動コイルの導体に、メインアンプのスピーカー出力の電流が流れ、音が出ているときの様子である。
棒磁石の磁極が図のように組み合わされているため、電流の流れが上側の図の場合は上向きの力が、その逆の電流の流れの場合は下側の図のように下向きの力が導体コイルに働く。
導体コイルは振動膜に接着されているため、このスピーカーに入力された音声信号に応じて振動膜が振動し、音として再生されるわけである。
姿・形はダイナミック型コーンスピーカーと大きく違うが、音を放射する振動板を駆動する原理は、このように同じである。(すみません。ダイナミック型コーンスピーカーの動作原理は了解済みとして話を進めています)
SMGaに内臓されている2Wayネットワークは、LとCのみで構成された、もっとも一般的な6db/octのものであり、特に変わったところはない。
MAGNEPAN MG1.7のあらまし
ボーカルのCDを聴いた瞬間、そのあまりのリアル感で私を焦燥感に駆り立て、その場でSTAX ELS-8Xの修復を決意させたMG1.7とは、どのような構成のスピーカーなのか。
それを簡単に紹介しておきたい。
MAGNEPAN MG1.7の構造は、先の段で内部を見たSMGaを一回り大きくし、そのツイーター部の隣に、さらにスーパーツイーターを加えて3Wayにしたものである。
そのスーパーツイーターは、Quasi Ribbon(クワジーリボン)型と称するもので、図2の左側の図の構造である。
<図2:左・Quasi Ribbon型、右・True Ribbon型、各ツイーターの構造>
**MAGNEPANのカタログより抜粋**
左図のQuasi Ribbonツイーターの仕組みや原理は、Magneplanar型と類似である。
Magneplanar型との相違点は、振動膜には、より薄くて軽いMylar Diaphramを採用し、導体にはワイヤーよりずっと軽い金属箔のリボンを貼り付けている点である。
一言でいえば、「ダイアフラム系の質量を下げた」ことであり、それにより高域特性が改善されている。
右図のTrue Ribbonツイーターは、「正当的な仕組み」のリボン型である。
このタイプのツイーターは、MAGNEPANの上位の大型スピーカーに採用されている。
Quasi Ribbon型のように、ベースフィルム(ダイアフラム)にリボン箔を貼り付けたものではなく、アルミニウム箔のリボンが、磁界中に単独で張られており、そのリボンそのものが振動して音を出す仕組みである。
ただしその駆動力は、Magneplanarの仕組みと類似である。
<写真8:MG1.7のツイーターとスーパーツイーターの音量を減衰させるためのアッテネーター>
**左の写真の状態は、「減衰なし」のショートバーを装着した状態。右の写真のアッテネータ素子を装着することにより、1~3dbほど減衰が可能。また右端の端子を使って、ユーザー任意の抵抗を装着することも可能**
平面型スピーカーのリアルな音場はどこからくるのか
オーディオの歴史において、平面型スピーカーにはその代表として、STAXのコンデンサースピーカー、MAGNEPANのMagneplanar型スピーカー、apogee(アポジー)のオールリボン型スピーカーなどがある。
それらの平面型スピーカーには共通して、他の方式のスピーカーでは得がたいリアルな音場と、リアルな音を再現する独特の能力があると考えている。
平面バッフルの音も、平面型スピーカーと類似の部分が多いと感じている。
長年の実体験から推して、平面型スピーカーに備わっているこの能力の大きな要因は、
「スピーカーの背後にも、前面と同じ程度の音量の音が出ている」
ことにある、と、私の中ではほぼ結論が出ている。
背面の音は、もちろん逆位相であるが、後ろから出る音の位相がどうのこうのは問題ではない。
発音体から音波が四方八方に広がり、直接波の音とともに、あらゆる方向から、様々な遅延を伴った反射音(当然ながら位相もメチャクチャ)が人の耳に到達する。
一般的にはこの状況が、人が聞く「音」の基本である。
このことを、まず押さえておく必要がある。
音楽会であろうと、森の中のウグイスの鳴き声であろうと、路地で遊ぶ子供の叫び声であろうと、同じである。
動物の耳に備わっている方向探知能力
さて、森の中のウグイスの鳴き声。
小さな体から、あれだけの大きな音量を、すべての方向に撒き散らす。
あまりに遠くにいれば話は別であるが、たいていの人は、その鳴き声を聞けば、どこらあたりで鳴いているのか、その方向を瞬時に察知することができる。
感覚の鋭い人なら、かなり正確にその方向と距離が分かる。
それが一般的な動物に備わっている「方向探知」の能力である。
直接波の音と、四方八方に広がった音の反射音。
この両者のデータが存在するからこそ、音が到来する方向を即座に感知することができるのではないだろうか。
そのデータの高度な演算を、動物は何の苦もなく自動的にやってのける。
オーディオのスピーカーを考えるとき、この「動物の耳の能力」のことを忘れているのではないだろうか。
・不要で不都合な背面放射を閉じ込めるためにスピーカーは箱型になっている。
・平面バッフルは逆位相の背面放射があるので設置に問題がある。
・平面型スピーカーも上と同じ。
など、いままで「もっともなこと」と思われてきたが、果たしてそうなのか。
平面型スピーカーを長年聴き込んだ私は、「背面放射の音を封殺してはならない」と強く思っている。
i氏山荘の平面バッフルのすばらしい音場感は、背面からの音と渾然一体になってリスナーに届くからこそ、動物の聴覚の特殊能力が働き、各種の音像を明確に結ぶのではないだろうか。
平面型スピーカーや平面バッフルを愛用するユーザーが、ほぼ口を揃える「音場」や「定位」のよさ、そして「リアル感」といった、ほかでは得がたい特長を考えると、平面型スピーカーの音の出方、聞こえ方に関して、どこまで研究されているのか、はなはだ疑問である。
果たしてどうなのであろうか。
平面型スピーカーが「万能」ではない。
箱型もホーン型も「万能」ではない。
が、皆それぞれに素晴らしい音がある。
現在、いろいろな偶然が幸いして、STAX ELS-8XとALTEC MODEL 19という、両対極にあるようなスピーカーを、気分次第で鳴らすことができる状況にある。
i氏の一言
先週、「i氏山荘」を訪問した帰りに我が家に寄っていただいたが、この2種類のスピーカーを聴き比べたあと、i氏が「この2つがあるからいいですね」とこぼされた。
確かにそうなのだ。
それぞれの「いい音」、「持ち味」を聴けばよい。
i氏の一言で、何かが吹っ切れたようないい気分になった。
i氏山荘では、昔の国産20cmシングルコーンSPが、実に驚くべき音を出した。
その素晴らしさをどのように表現すればよいか、そのことを「i氏山荘」の日記で、ちょっとがんばってみたいと思います。
本日の日記は、かなり長くなってしまいました。
そのため、スピーカー端子の話や、複数台のメインアンプと複数台のスピーカーシステムとを、自由に組み合わせて楽しむ話などは、後日、タイトルを改めて綴りたいと思います。
(「コンポ(3の2)MAGNEPAN平面スピーカーの音がSTAX ELS-8Xを救った」 おわり)
初めまして!
STAXのスピーカを修復されたという驚異的な記事を発見して、びっくりしてコメントしています。
私も40年くらい前にELS6Aだったか? 当時で70万くらい出して購入に、友人から 「俺なら海外旅行に行くな」 と笑われました。雑司ヶ谷のお宅にお邪魔して、奥さまにもお会いし話をしました。懐かしいです。
ところが、ユニットが劣化して効率が悪くなり、埼玉の工場に持ち込んでも、修理を断られ、今では3階の部屋に片付けてしまいました。
なんとか修復して、あの爽やかな音を聞きたい!
是非、お力を貸していただきたく思いましてご連絡いたしました。
by おいちゃん (2014-06-06 17:43)
おいちゃんさん、お立ち寄り、ありがとうございます。
そうでしたか。40年前にESS-6Aを購入された方がいらっしゃるなど、本当に感激です。その当時、コンデンサースピーカーを選択し、その上、高価なSTAXの最上機種を購入できるようなオーディオ愛好家は、極めて限られていたことと思います。私のブログの「甦れ8X(第2回)」に書き、また、ブログの表紙にもある『・・当時のSTAX本社、現在は東京都有形文化財の「雑司が谷旧宣教師館」である。私はこの館で音の洗礼を受けた・・』は、そのESS-6Aを聴かせてもらった時のことを語っております。
さて、ESS-6Aの修復ですが、その発音ユニットが、私のブログにありますように「3枚おろし」にできるようであれば、振動膜の張替え修復ができる可能性があります。私が成功したくらいですから、まあ、いろいろな工作が得意な方であれば、あとは気力と工夫次第だと思います。難易度も高いですが、それよりも根気が必要です。毎日、根をつめてがんばっても、1つの発音ユニットの修復に1週間ほどかかります。
ESS-6Aが修復できれば、日本オーディオ史の金字塔が今に甦ることになりますね。あの当時の機種も、きっと素晴らしい音を出していたのでは、と思っています。
修復を考える段取りとしては、まず私のブログのカテゴリー「甦れ8X(1)~(5)」に目を通されて、修復作業の全体の感触や、発音ユニットの構造などを、ざっくりと把握していただきたく思います。その上で、高圧発生電源部はOKか、インピーダンス変換トランスはOKか、などをチェックして、音が出ない原因が発音ユニットにあることを見極める。と、まずここまでを一区切りとされてはいかがでしょうか。
by AudioSpatial (2014-06-06 22:49)
お返事ありがとうございます。その後調べてみたら、村瀬さんって、あの、テレビ局のすごい偉い方だと分かって、畏れ多いなと思っている次第。
その経歴もさることながら、趣味の世界における深さ、努力も並大抵ではありませんね。
確かに、まずは、記事を隅から隅まで読んで、自分で出来ることをやってみてから、覚悟を決められるかどうかでしょう。
未だに、悠々自適とはいかず、生活のために働いている自分としては、集中して出来ることは限られていますが、少しひも解いてみたいと思います。
いつか、リアルにお目にかかって、色々なお話を伺えればと思っています。
by おいちゃん (2014-06-07 13:43)
おいちゃんさん、こんにちは。「おいちゃんのブログ」拝見いたしました。物置部屋に幽閉されるSTAXの写真(昨年9月18日)も発見しました。私の早合点で、ESS-6Aのことと思ったのですが、やはりESL-6Aなんですね(1976年発売のようです)。実物の写真を初めて見ました。発音ユニットの配置は私の8Xと同じですが、ツイーターの隣の全帯域ユニットの幅が4つの低域ユニットよりも広いように見えます。
おいちゃんさんはSTAXがダメになって「スペシャルJBL」。私はSTAXがダメになってALTEC。同じような経過ですね。私の場合は、その後、このページのブログ本文のようなSTAXへの強い回帰のきっかけがあって、ELS-8Xの修復を強引に試みた次第です。
なお、QUADのESLの修復記事は、海外のサイトにたくさんあります(日本にも少しあります)。私もそれらを基にしました。「ElectroStatic Loudspeaker」、「Repair」などを検索キーワードにしてお試しください。よろしくお願いいたします。
by AudioSpatial (2014-06-08 13:21)
おはようございます
その後、記事を詳しく拝見させていただいております。なかなか大変な作業ですので、気合いを入れて取り掛からないといけません。
時間が出来たら…などと言っていると何時になるか分かりませんので、まずは慎重にばらしてみようかな?と思っています。 どんな構造なのか? 8Xとの違いも見てみたいし。
そうそう、わたしはカートリッジもSTAXなんですよ。初代の完全なコンデンサタイプでは無くて、エレクトレットコンデンサーとでもいうのでしょうか? 二代目のものです。バッテリーが完全にダメになっていたので、それを修理して蘇らせました。そのとき、あのSONYにもいらしたNさんと知り合い、中野のオーディオの集まりにも参加させていただいてます。
by おいちゃん (2014-06-11 07:01)
おいちゃんさん、STAXのカートリッジの件、了解です。現代の技術でカートリッジ本体や、変調器・復調器などを作れば、さぞかし・・などと思います。
取り急ぎ、バラす際の最重要注意事項を一つだけ。パンチングメタルには、決して傷を付けず、変形させないよう、慎重な作業をお願いいたします。STAXのコンデンサースピーカーのパンチングメタルは、海外のSPとは工作精度に雲泥の差があり、もう二度と製作できない「お宝」です。私は、パンチングメタルの製造メーカー数社に、同じようなものが作れるかどうか問い合わせしましたが、答えは不可能でした。あの細かい穴、大きな開口率、穴のエッジの丸めと研磨(両面)。これらはお金を積んでも、現在の工場での特注品程度では作れません。
枠のベークライトなどは、その気になれば、なんとかなるとは思いますが、パンチングメタルだけは、ダメージを与えないようご注意ください。
by AudioSpatial (2014-06-11 09:01)
初めまして、とても興味深く拝見しております。わたくし、大の凝り性でして、学生時代には「江川三郎氏」に傾倒し、オーディオに凝っておりました。あのSTAXが大好きでして、CP-Y(type2)や真空管アンプ自作、マイクロの吸着システム、等を使用しておりました。当時はLPレコード全盛期でしたが、10年程前から、なかなか名盤が入手困難となり、LPから遠ざかり、SCD-777のSACDやCD派となりました。さて、実は、貴方様のwebを教本としまして「ELS-8X」の修復を現在しております。電源トランス一次巻線の断線修理、フィルムコンデンサ全交換、高耐圧ダイオード全交換、ユニットの銅箔フィルム緑青修理、と頑張ってきました。とても理解しやすい画像、説明文の御陰をもちまして各部、電圧もメーターを振り切る様な状態まで戻りました。しかしながら、ユニット自体の劣化は如何ともしがたく張り替えたいのですが「極薄3ミクロンのポリエステルフィルム」が何処を探しても、JAXAの高層観測バルーン関連企業を当たっても、入手出来ませんでした。何とか遺したい貴重な「ELS-8X」を出荷時点の状態へ戻してあげたいのです。誠に恐縮では御座いますが、「極薄3ミクロンのポリエステルフィルム」の入手方法と「導電性塗料」の名称(メーカー、型番)を御教授、御願い致したく御連絡をさせて頂きました。失礼かとは存じますが、藁にも縋るつもりにて、どうぞ御容赦下さい。
by dharani13 (2014-08-11 01:44)
dharani13さん、返信が遅くなり、まことに申し訳ございません。
ここ数日、夏休みのようなことをして、ブログを開けていませんでした。大変失礼いたしました。
お話の件、了解いたしました。さっそく今晩にでも、入手先等、とりあえずこのコメント欄で、お知らせいたします。スウェーデンのコンデンサースピーカー愛好家からの入手ですが、現在も在庫があるかどうかは、確認が取れておりません。その点が心配です。
by AudioSpatial (2014-08-14 17:01)
dharani13さん、私が、発音ユニットのフィルムと、導電剤、およびフィルムの接着剤を取り寄せたMT Audio Design のホームページのURLです。
ESLのリペアについて、とても参考になりますのでご覧ください。
http://user.tninet.se/~vhw129w/mt_audio_design/
上のMT Audio Designのホームページの「Quad ESL-63 Element Repair」のページの本文冒頭部に、「MT Audio Design ESL Repair Shop」のタグがありますので、それをクリックするとESL Repair Shopのページ(下記URL)が開きます。このショップに、フィルムと導電剤およびフィルムの接着剤の在庫を問い合わせてみてください。
http://user.tninet.se/~wea635n/mt_audio_design/mt_audio_archives/esl_repair_shop.htm
ではよろしくお願いいたします。
by AudioSpatial (2014-08-15 02:41)
こんにちは、立秋ともなりますと、若干ではありますが、朝夕が凌ぎやすい気も致します。突然とは申せ、失礼な書き込みに対して、御丁寧なお返事有難うございます。わたくしこそ、御回答いただいていたとは露知らず、ブログを拝見した時には感激でした。もう一人の方、同様に「MT Audio Design」に確認してみたいと思います。HiFi Audio を個人的に探求されているスウェーデン人の方、まだストックがあって小分けして頂けると、とても嬉しいです。また、かのELSは、その前後を丸裸に近い状態として、縁側に「鎮座」しています。製造番号は410、各ユニットには93.8.x~93.9.x」とマジック書きされておりました。あのベタ付く蝋は、半田ごてで溶かしました。コンデンサはRL共通部品(三菱製、耐圧2500V)でしたが、高耐圧ダイオードはRL全くの別物でした。よくよく観察しながら、手を入れて行きますと、その作り込みに感動。製造時に同じ様に半田ごてを持って、ラインを引いて、ユニットを手作りされた方の「人間味」と申しますか、その情景が目に浮かび「どんな方が作ったんだろぅ、男性かな、女性かなと、あぁー、その方と同じ事をしてるんだなぁ」と思わずには居られず...。また、ブログで画像を拝見しますと高音ユニットを内側としてRLをセッテイングされておられるのは、音像との意味合いでしょうか?と申しますのも背面の防塵ネット(金属ネットと椰子繊維の塊)を外しますと本体木部に「R」「L」と手書きされており、そのマジック書き「R」を手がかりに、「R」を向かって右にセットしますと高音ユニットは外側となります。内側とする事で「直進性の高い高音ユニットが近づく事で、より一層音像が点」となるのでしょうか?自分の耳、オーディオ環境、趣味思考によって、好みでセットすれば宜しいのでしょうが、意図しての事でしたら、是非、次の機会にでも御教授頂けましたら幸いで御座います。最後に、御多忙中の貴重な御時間を頂戴し、御対応頂きました事、本当に有り難う御座いました。この場をお借りしまして、御礼を申し上げます。
by dharani13 (2014-08-19 18:05)
dharani13さん、またしても返信が遅くなり、申し訳ございません。
ああそうですね。あの発音ユニットの四辺の蝋の除去は、本当に厄介ですね。溶かした由、了解です。私は、竹やプラスチックのヘラなどで、こそぎ落としました。
実はあの蝋は、放電防止に非常に重要な役目を果たしています。やってみて、分かりました。
リペア後、私はゴム系の絶縁テープを巻きましたが、今もあの蝋が入手できるなら、オリジナルのように塗布したいところです。
それにしてもこの時代のSTAX ELSの発音ユニットの作りの精緻さは、空前絶後であると断言できると思います。お気付きのように、海外品の構造を知る人が見れば、一見しただけで、それが分かりますね。
さて、スピーカー本体の左右の件ですが、あの当時のオーディオ世界は、まだまだ発展途上だったんですね。STAXの説明書にも高音ユニットが外側になるように設置するように書かれています。なのでスピーカー本体のR、L、の印も、そのように印されています。
現代の常識は、dharani13さんご指摘のとおり、音の波長の関係から、高音ユニットが内側になるように設置します。しかしこういったことは、セオリー通りにいくかどうかは、実際に聴いてみなければ、何とも言えません。
また、何かありましたらご遠慮なく、コメントしていただきたく思います。
ありがとうございました。
by AudioSpatial (2014-08-21 17:29)
こんにちは、長らく御無沙汰を致し、大変に申し訳御座いません。度重なる、御丁寧なお返事をいただき有難うございます。修復への手掛かり、本当に参考にさせて頂き助かります。さて、お教え頂きました「MT Audio Design」のMats氏へ一旦は断られながらも(全品、注文量が多すぎたと思います)何度も何度も連絡をとり「三種の神器」を譲って頂く事が出来ました。これまで国内を探しており、自宅へ届いた時には「これで再生できる」と感謝感激ものでした。ブログを数えきれぬ程、読み返し見直し「手に入る最高の物」を踏襲すべく、画像で拝見する品々、同じ品揃えと致しました。なお半田ごてで蝋を溶かしましたのは「電源部」のみです。実はちょっと前まで修復に必要な材料か揃っておらず、発音ユニットは手つかず状態でして、ここの蝋除去には「ヘラ」を使用しようと思います。先程、初めて低域用ユニットを一枚だけ分解しましたが、ブログで仕様を把握して挑んだ御陰にて、フィルムは無事です。この後、よくよく構造を観察し、ジグを作り、本格的に張り替えを始めようと思っております。
そこで御教授頂けたらと思う事が3点ほど御座います。1点目は【導電性塗料Polycoatを塗布する際の「量」と「塗布回数」です。】調べますと、QUAD修理のWEBサイトには「900㎝平方につき1ml塗布」と見た気がして、直ぐにスポイトを買ってきました。また御存知のMats氏サイトでは数滴たらしてクリネックスで塗り広げる方法を取られているようで。許容されるマージンが比較的広いとの事でしたが、大凡で構いませんので目安の量と塗布回数を御教授頂けたらと存じます。塗布は一回のみで十分でしょうか?抵抗値の均一化を目指して、絶縁抵抗計(横河HP4329A、中古)を買い求めました。
2点目は【フィルムに導電性塗料を塗布すると、その塗布面は背面方向を向きますか?それとも前面方向を向きますか?】前面側ユニット1/2にフィルムを張って塗布するのでしょうから自ずとコーティングした塗布面は背面方向を向くのだと思いますが、念のための確認です。すみません。
3点目は【導電性塗料Polycoatを塗布し、ここに電荷を渡す井桁状なる導通ガイドラインは、同じ導電性塗料Polycoatを厚めに塗布する事で形成されたのでしょうか?】またまたwebを調べますと、導電塗料B5035という銅粉を含有する品を発見しましたので取扱店から有料試供品を頂きました。これをテイトピースに塗布し乾燥させると、かなり抵抗値が低くなりました。特に導通ガイドラインは導電性塗料Polycoat で形成して宜しのでしたら、そうしようかと思っております。
また、湿気を遮断したり、絶縁崩壊から守る役割を担っている「蝋」ですが、webとかに掲載が有りますが、自作キャンドル製作用としての商品「パラフィンワックス」を試用してみようと思っております。天然の蜜蜂ロウや色々な仕様のロウがあるみたいですので、少量でも取り寄せてみようと思っています。
ここまで、来られましたのも、ブログにて完璧に、詳細に、かつ解りやすく記載して頂いた御陰に間違い有りません。ブログが無かったり拝見していなければ、これの再生は厳しく、不可能に近かく、断念していたことと存じます。
また、ボール盤(キラ製、NSD-13、中古)も入手しまして、ベアリング交換等、重整備しました。最高の品揃えをとのコンセプトを踏襲してやってきましたら、ELS-8Xの取り巻きが大変な状態(妻からスクラップ物置、がらくた置き場と言われてます)となっております。多忙中で御座いましょうに貴重な御時間を頂戴し、誠に有り難う御座います。 恐縮ですが、お暇な空いた御時間ございましたら、御教授頂けましたら幸いで御座います。では取り急ぎ愛想なしにて、すみません、失礼を致します。
by dharani13 (2014-10-09 14:09)
dharani13さん、すみません! ここしばらく、ブログを開かなかったため、返信が大変遅くなりました。
一番重要な作業のご質問なのに、申し訳ありません。
数日中に、図を描いて要点をご説明いたします。
その前に取り急ぎ一言。
①導電性塗料Polycoatの塗布は、木枠のフィルムに大きく塗布します。乾燥したら、そのフィルムを発音ユニットに貼り付けることになります。
発音ユニットに貼り付けてから塗布するのではありません(均一性の確保が困難のため)。
また、塗布には、記事にあるような不織布を使ってください。ティッシュペパーを使ってはいけません。ケバが出るので使用厳禁です。
塗布の量は、感覚としては「極めて薄く、できるかぎり薄く」です。多く塗布してはいけません。だいたい均一に塗布されていれば、どんなに薄くても、出てくる音圧に差はないと思われます。
「極力薄く均一に」が成功の秘訣です。
②塗布面は背面方向を向きます。
③井桁状の導通ガイドラインに、Polycoatは不適です(導通性不足)。私は入手が容易な「ドータイト」を使いました。カーボン系の導電塗料で、エレキギターのシールド用として多用されているので、Yahooのオークションなどで、小分けのビンが入手できます。
以上、取り急ぎのアドバイスをさせていただきました。
by AudioSpatial (2014-10-14 22:11)
こんにちは。
最近マグネパンスピーカー3.7を入手しました。こちらの記事により、
磁力平面型スピーカーから音が出る仕組みがよく分かりとても助かりました。DVDは夢のような広帯域デジタル媒体ですが、マグネパンとの組み合わせにより、連日オペラ鑑賞を楽しんでいます。
ありがとうございます。
20230922
by 天才ひろし君 (2023-09-22 06:28)